The future is in nature ー 未来は自然の中にある

Exhibition , Kita-karuizawa, 2020

「The future is in nature ー 未来は自然の中にある」展 作品コンセプト
- サーミと津軽に関する作品を並列すること -


"「トナカイ飼い達にとってトナカイの毛皮は、厳しい冬の寒さから自分たちを守る一番大切な手工芸よ。」とトナカイ飼いの娘は答えた。" 
(記録集『土のことづて』より引用)

手工芸は大抵、それを使う環境に合わせて身近な天然素材で作られ、その土地の人と自然を関係付ける道具となる。北極圏に住むサーミの人びとの場合、古来遊牧してきたトナカイから取る毛皮は、時に-40度にもなる厳しい冬の寒さから身を守るための衣服となった。身近な自然の形を借りて作った道具で、その環境から身を守るのだ。そんな手工芸にまつわる会話をきっかけに、厳しい自然と共に生きる知恵をサーミや津軽の人びとから取材してきた。

今回の展示では、サーミのお話を描いた木版画とその版木、津軽のマタギ(狩人)などのお話を描いた木口木版画とドローイングを並べた。『ことづての声』には、津軽の「自然から読み取るサイン」を示唆する何気ない言葉を、木の年輪になぞらえて書き込んだ。『積層の器』には、それらの言葉から得たイメージを描いた。薄紅色は津軽で集めた土から、藍色は庭で育てたタデ藍から絵の具を自作し制作した。

サーミの「自然と協調する」手工芸のあり方にならって木版画を作ろうとするとき、土や木の持つ色・形と私の思い描くイメージをすり合わせるように絵を決めていく。木の固有なシルエットを版画に写し取るには、その一枚の版木のみを使って、複数の色を刷り重ねなければならない。そのため一色を刷り終えるごとに版木の一部を彫り、今度は異なる色を刷り重ねることになる。彫っては刷るのを繰り返して木版画が完成した時には、版木は彫り・刷りの痕跡を残してその役割を終える。『葉隠れ』の版木には、彫り去った部分に土を埋め込み、版木としての役割を終えた木を埋葬して「自然に返す」という意味を込めた。


展覧会「The future is in nature ー 未来は自然の中にある」
会期:2020年4月18日~8月31日(火水休)
会場:ルオムの森(群馬県・北軽井沢)
キュレーション:船井美佐
https://luomu.jp/events/202004_gallery/